9月議会個人質問で良い結果を出せました。内容は以下の通りです。
今年も令和2年7月豪雨など、災害があちらこちらで発生しています。名古屋では、ちょうど20年前(平成12年9月11日)の東海豪雨以降、大きな災害には遭っておりませんが、安心できる状況ではありません。次は我が身だと思って災害への備えをしていく必要があります。
昨今のコロナ禍にあって、在宅避難や分散避難といった避難のあり方が見直されています。しかし、大災害時、全員が自宅や知人・親戚宅で避難生活が送れるわけではありません。避難所で避難生活を送らざるを得ない人たちはいらっしゃいます。
本市では、避難所への災害救助物資の備蓄を進めてきました。そのなかでも食糧や水、毛布、簡易パック式トイレといったまさに生命に関わるような生活必需物資を最優先で備蓄し、一定の目途がたっています。また、避難所での生活環境の向上にも努め、主たる避難所になる市立小中学校には、テレビや特設公衆電話の設置も進められてきました。新聞も配達されると聞いています。
さらに、今年度は、新型コロナウイルス感染症を始めとする感染症防止対策にも取り組んできました。
いろいろと打てる手を打ってきたことは評価したいのですが、いざ、避難所生活を送るとなると私の中には不安があります。身近なことで言えば、スマホは使えるのでしょうか。
例えば、災害発生時には、一度に多くの人々がスマホを使用するため、つながりにくくなる心配はないのでしょうか。
確かに避難所となる市立小中学校にはテレビはあるし、新聞も来て情報を得ることはできます。しかし、テレビで言えばたったの1台、しかも32インチです。新聞だって数は限られます。このコロナ禍において、テレビの周りに人が集まり、まさに力道山を見る「昭和の街頭テレビ状態」となり “密”になってしまう状態や、指につばをつけながらめくる新聞の回し読みは感染のリスクがあることから、できる限り避けなければならないのではないかと考えます。
そこで必要となるのが避難所のWi-Fi環境ではないでしょうか。
しかも、それは災害発生後だけでなく、災害が迫っている状況においてもいえます。特に深夜に台風が接近する場合などは明るいうちから避難を開始することも想定され、場合によっては半日に及ぶような非常に長い時間を避難所で過ごすことになります。その間、避難者はただひたすら待ち続けるのであり、大人はスマホなどで台風の接近情報などを見ているし、子どもは退屈しのぎにスマホで動画を見ている姿が自然にイメージできます。
withコロナの時代だからこそ、避難所において、個人で情報が取れ、また子どもたちが密になって遊ぶことを防ぐことができるスマホは貴重な災害対応ツールであり、Wi-Fi環境を整備することで、避難者がスマホを使用できるようにすることは行政としての重要な役割ではないでしょうか。
避難先で、スマホが使えないとなると避難者は情報難民になってしまいます。情報が入らないと人は不安になります。ただでさえ、避難所生活はストレスがたまる中、ほしい情報がほしい時に取れないというのは本当につらい状況です。それは子どもたちも同じで、退屈をしのぐための動画も見られず、子どもたちのストレスも限界になります。
このようなことが考えられる中で、このたびの9月定例会に上程された補正予算案には、「学校の情報通信ネットワーク環境整備等」が計上されております。この内容を確認すると、市立学校において高速大容量通信に対応するための環境整備が行われ、学校教育においてWi-Fi環境が整うというものであります。
避難所となる市立小中学校にこのような環境が整備されるのであれば、災害時にそれを使わない手はありません。
そこで防災危機管理局長に伺います。今後、整備される市立小中学校のWi-Fi環境について、災害時には避難者に対しても開放すべきと考えますがいかがでしょうか。
<名古屋市の考え>
- 災害時の避難所においては、避難者それぞれがスマートフォンを活用し、防災情報の収集や家族の安否確認を行うなど、多くの方がインターネットを活用することが想定され、それにより避難者の不安解消にも繋がるものと認識しております。
・ 本市の現状と致しまして、災害発生前におきましては、事前に避難して来られた方に対しまして、テレビによる情報提供を実施しており、Wi-Fi環境の提供は行っていない状況です。
一方、災害発生後は、携帯電話各社などの通信事業者が提供するWi-Fiの活用を想定しているところでございます。しかしながら、被害が広域に渡るような大規模災害時などにおいては、それらの環境が確実かつ迅速に提供されるかは、通信事業者の対応に依らざるを得ないところとなっております。
- 議員ご指摘のとおり、教育委員会において市立小中学校の教育環境の整備の一環として構築を進めているWi-Fi環境を、避難者が利用可能となれば、災害発生前や大規模災害時においても、より確実かつ迅速にWi-Fi環境が提供できるとともに、コロナ禍においてテレビの前に「密」にならずに情報を収集できるなど、大変有用であると認識しております。
- このことから、できるだけ早期に実現できるよう教育委員会とも綿密に連携をとりながら、市立小中学校の環境整備が完了する令和3年度中には、災害時に避難者に対してもWi-Fi環境を提供できるよう準備を進めてまいります。